秋冬に向けての伸びが著しいのはやはりハワイ！最新の渡航予約動向を分析 INFINI DATA Streamで見る世界第19回 2022年8月号｜特集

作成日：2022/8/24 written by：株式会社インフィニトラベルインフォメーション企画部

DATAStream

このコーナーでは弊社のマーケットデータ分析サービス「INFINI DATA Stream」を利用しINFINI上で行われた空席照会数や予約数のデータを分析し様々な角度からご紹介しております。今月も前半部分は直近2022年7月手配分の渡航動向をエリア別に記載。後半では秋冬に向けて伸びが著しいハワイの最新渡航動向を特集しております。
また玉川大学観光学部教授中村哲様より弊社分析記事に対する総評コメントを頂戴致しましたので本文最後に掲載しております。是非ご覧ください。

＼目次／

全体の動向（対前年比）
✔ ヨーロッパ以外は引き続き右肩あがりの実績
北米・中南米の動向
✔ 9月出発以降の空席照会件数に伸びがあり
ヨーロッパの動向
✔ 9月出発の予約件数が8月出発を超えている
中東・アフリカの動向
✔ 9月出発の予約が増えている。
ハワイ・ミクロネシア・オセアニアの動向
✔ 秋から年末にかけてハワイが躍進
アジアの動向
✔ 条件次第で流動的な動き
今月の特集
✔ 秋冬に向けて伸びが著しいハワイ
総評
玉川大学観光学部教授　中村哲様
まとめ
INFINI DATA Streamとカスタマイズレポートのご紹介

１. 全体の動向（直近6か月）

図1：2022年2月から7月のエリア別予約取り扱い実績

これまで前年比でお伝えして参りましたエリア毎の全体実績ですが、今月から新たに過去6か月間の動向をお伝え致します。グラフは常に6か月前の月を基準とし、その比率でご報告しますので実績の流れがよりリアルに確認頂けます。今月は2022年2月を基準としております。7月予約数はヨーロッパのみ前月予約数を下回っておりますが、その他のエリアは引き続き右肩あがりの流れを示しております。

２. 北米・中南米の動向（除ハワイ）

図2：北米・中南米エリアの国別出発月別空席照会数

図3：北米・中南米エリアの国別出発月別予約取り扱い数

北米・中南米エリアにおいてまず左側の空席照会数（図2）をご覧頂きますと10月から12月の空席照会数が先月までの操作実績と比べて伸びております。3か月先出発がここまで伸びる動きはこれまでございませんでした。10月以降の空席照会件数の多さがそのまま今後の予約に繋がっていくことを期待しながら今後も注視して参ります。

３. ヨーロッパの動向

図4：ヨーロッパエリアの国別出発月別空席照会数

図5：ヨーロッパエリアの国別出発月別予約取扱数

ヨーロッパエリアにおいては空席照会数（図4）は当月と翌8月の件数が伸びており、そのトレンドはこれまで通りです。然し右側の予約取扱数（図5）をご覧頂きますと7,8月より9月出発の数が多い事がお判り頂けます。空席照会件数では8月出発が9月出発より多いものの、予約数においては8月出発より9月出発が多くなっております。コロナ禍での渡航が再開されてからは１つの大きなトレンドとして操作当月と翌月の数は伸びるものの3か月先以降の伸びは見られない状態が続いておりましたので、新たな動きが見えて参りました。

４. 中東・アフリカの動向

図6：中東・アフリカエリアの国別出発月別空席照会数

図7：中東・アフリカエリアの国別出発月別予約取り扱い数

3.ヨーロッパで報告致した内容と似た状況がこの中東・アフリカエリアでも見られます。空席照会件数（図6）では8月出発が多いものの、予約数（図7）では9月出発の予約数が増えてきております。このエリアではトルコ、アラブ首長国連邦共に最終目的地がヨーロッパとなっているケースが多くみられますのでヨーロッパエリア同様9月の予約が増えている動きとなっております。9月以降ヨーロッパ行き渡航が多く予約されている事は今後の明るい材料の１つと言えるでしょう。

５. ハワイ・ミクロネシア・オセアニアの動向

図8：ハワイ・ミクロネシア・オセアニアの国別出発月別空席照会数

図9：ハワイ・ミクロネシア・オセアニアの国別出発月別予約取り扱い数

ハワイ・ミクロネシア・オセアニアでは空席照会、予約ともに更にハワイが数を伸ばしている状況です。直近8月，9月出発は勿論ですが、特に10月から年末年始月まで予約数が入っているのは世界中でもハワイだけとなります。。尚、来年春以降になりますとニュージーランドの予約が見受けられます。こちらは留学シーズンに向けた動きとなっていると思われます。尚、ハワイの渡航動向については後述の特集でも扱っておりますので合わせてご覧ください。

６. アジアの動向

図10：アジアエリアの国別出発月別空席照会数

図11：アジアエリアの国別出発月別予約取り扱い数

アジアエリアでは引き続き韓国の好調が続いております。先月操作の空席照会件数では10月以降は台湾がトップでしたが、7月操作では韓国が抜いた形となっております。この辺りは入国（ビザ発給）緩和の状況次第で今後も流動的に推移していくと思われます。予約においてもベトナム一位は変化がありませんが、2番手以降の顔ぶれは毎月変化が見られます。直近8月は韓国が2番手につけており、また中国が上位にあがってきているのもこれまでに無かった動きですが、こちらは航空会社の復便等によるものと思われます。こちらもキャリア復便や入国（ビザ発給）規制緩和次第で今後も流動的に変化があると思われます。アジアも目が離せない状況となって参りました。

７. 今月の特集

秋冬に向けての伸びが著しいのはやはりハワイ！

前半部分で各エリアの状況をお伝えの通り、7月操作では8月、9月の空席照会や予約はどのエリアも一定の実績はありましたが、10月以降（秋～年末年始）に対しては他のエリアがまだ伸びてこない中、断トツで数を伸ばしているのがハワイです。1.全体の動向のグラフにも表れておりますが、例えば今年3月操作の予約数と7月操作の予約数では倍近くに数が伸びております。エリア別のコメントにも記載しておりますが現時点で12月（年末年始）にここまでの予約が入っているのは世界をみてもハワイだけと言えるでしょう。

実際にどの月にどの程度の予約が入っているかのグラフを下記にご用意しましたのでご覧ください。操作対象は昨年12月から今年7月までの月毎の予約操作数となります。操作月から見ますと今年4月から動きが出てきてそのまま加速し7月操作では更に予約数を伸ばしております。

その予約がいつ出発のものかは色付けで表示しております。
9月出発：ブルー、10月出発グリーン、11月出発薄いオレンジ、12月出発濃いオレンジ現時点では9月出発が多く予約されておりますが、これまでの動きからも今後年末年始の予約が伸びていくものと推察しております。

図12：秋から年末年始ハワイ行き旅程の予約月分析

８. 総評

玉川大学観光学部教授　中村哲様

本稿で紹介されているデータは、大きく日本出発の「空席照会数」「予約数」があります。「空席照会数」は渡航先への関心、「予約数」は実際の行動の指標として見ることができます。現時点だけではなく今後1年以内の出発についても示されていますので、この先の状況を見通す参考になるでしょう。

今号の注目はハワイに置かれています。2020年以降のさまざまな調査で「海外旅行再開時に最初に行きたい場所」としてハワイが1位との結果が多く示されていました。今回提示されているデータは実際の行動に移りはじめていることを示しています。ただし、実数それ自体はまだ限られたものとなっており、注意が必要です。

図1は2022年2月を1としたとき、各エリアの予約数が月毎にどの程度伸びているのかを示しており、2022年夏の状況を把握することができます。ハワイ、ミクロネシア、オセアニアへの予約数が、月を追うごとに伸びてきたことが明らかです。2022年5月以降に急激に伸びており、2022年7月には2022年2月の6.5倍の予約件数が発生したと読めます。

ハワイ、ミクロネシア、オセアニアへの国別にみた出発月別の予約取り扱いの動きを示した図9と合わせて見ていくと、このエリアの中でもハワイへの予約が多いとのことです。その背景には、1)現地での行動制限が緩和されていること、2)フライトの復便、3)日本のメディアでのハワイの状況の報道、4)日本人にとっての親しみやすさや安心感があるのでしょう。

さらに、この夏から9月以降の秋冬にかけての動向も先読みすることができます。前出の図9、ハワイの予約時期と出発時期の関連を示した図12を見ていくと、特にハワイの予約が夏季休暇中だけではなく、9月以降のその先にも入っていることがわかります。

一方でこのエリアの他国（オーストラリア、グアム、サイパンなど）は、7月・8月・9月のオーストラリアを除いて現状の空席照会数や予約数はそれほど多い状況にありません。とはいえ、旅行の制約が少なくなったり、フライトの回復が始まろうとしたりしている状況にあります。観光当局のプロモーション次第では、今後伸びていく可能性があるかもしれません。

2022年の夏は、コロナ禍であることに加え、日本の1日あたり入国者数の制限、渡航先出国前72時間以内に実施した新型コロナウイルス検査の陰性証明の取得必須、ウクライナ情勢、円安、燃油サーチャージの高騰、ビザ免除の停止など、通常時にはない海外旅行の阻害要因が多く存在する状況にあります。その中でこの夏に海外旅行に行く人は、過去の渡航経験があり、海外旅行に対して積極的な態度を持っており、多少の制約や不自由をすり合わせることのできる「海外旅行を我慢できない積極的な人」であると考えられます。

今後、この時期に渡航した人による多様な経験談や情報が発信され、それが広まっていくとみられます。この先の海外旅行に対する意識や行動がどのように変化していくのか注目したいところです。

中村哲様プロフィール

玉川大学観光学部教授。専門は観光心理学、観光行動論。

2002年4月敬愛大学経済学部専任講師。2010年4月玉川大学経営学部准教授などを経て2017年4月より現職。共著書に『「若者の海外旅行離れ」を読み解く』（法律文化社、2014年、観光学術学会著作賞受賞）など。最近の研究テーマは日本人の海外旅行行動、COVID-19の国際旅行への影響、旅行の阻害要因など。

９. まとめ

引き続き各エリアともに空席照会件数、予約数ともに増加傾向にありますが、今回はその中でも秋以降の予約数が著しいハワイを特集で取り上げました。然しながらアジア方面に目を向けても韓国、台湾、中国と空席照会や予約数が増加を辿っております。「行ける時期が来たら直ぐに行きたい」思いを抱えている渡航者とその手配をしっかりサポートされる旅行会社の皆様にこの分析記事が役立つ事を願って毎月執筆を行っております。

そして私どものデータ分析や執筆に力を貸してくださったのが玉川大学観光学部教授の中村哲先生です。中村哲先生は独自のデータを収集され様々な角度から渡航トレンドや渡航者の心理分析を研究されており、私たちのこの渡航分析にも様々なアドバイスを頂戴し、記事への総評を記載頂いております。今後も中村哲先生のお力添えを頂き更に魅力ある記事にして行きたいと考えます。

「DATAStreamで見る世界」ではこれらの動向をいち早くキャッチし皆様にお届けして参りたいと考えます。引き続きの配信をお楽しみにお待ち下さい。
また「この方面のこんなデータが欲しい」「自由に検索してみたい」等のご要望がございましたらお気軽に弊社営業にご相談下さい。復活に向けたビジネスチャンスに積極的に弊社データをご活用いただけますと幸いです。

INFINI LOOKUP編集部では記事に関するご意見ご感想を募集しています。また特に本記事においてはこういった切り口の分析が見たい、このポイントを深掘りして欲しい等のご要望をお聞きして記事作成に反映していきたいと考えております。ぜひページ下部の読者アンケートから、ご意見をお寄せください。

１０.INFINI DATA Streamとカスタマイズレポートのご紹介

マーケティングデータ分析プロダクト。本稿で紹介させていただいたようなINFINIの検索回数、予約数等のデータを様々な角度から分析いただけるツールです。プラットフォームとしてDOMOを利用しており、INFINIのデータを分かりやすく可視化し、お客様のビジネスに直接役立てていただけます。ご興味のある方は担当営業、もしくはINFINI FORESTお問い合わせフォームよりお問い合わせください。また、INFINI DATA Streamのデータをより一層役立てていただけるよう、個別にリクエストをお伺いし、カスタマイズレポートを作成するサービス※を開始いたしました。こちらもご興味のある方は担当営業、もしくはINFINI FORESTお問い合わせフォームよりお問い合わせください。
※費用に関しては内容をお伺いしたのち、都度お見積もりをさせていただきます。

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