新たな水際対策措置による予約の動向 2022年1・2月の海外旅行動向|INFINI DATA Streamで見る世界 第14回 2022年3月号|特集

written by:株式会社インフィニトラベルインフォメーション 企画部

このコーナーでは弊社のマーケットデータ分析サービス「INFINI DATA Stream」を利用してINFINI上で行われた空席照会数や予約数のデータを分析し、色々な角度からご紹介致します。第14回 2022年3月号では2022年1月、2月の渡航動向に加え、3月1日より適用されている「新型コロナウィルス感染症に関する新たな水際対策措置」(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2022C018.html)が適用された国々の空席、予約動向について、この緩和措置が実際の空席照会や予約動向にどのように反映しているかを中心に2022年度最新の動向を探って参ります。

目次

  1. 全体の動向(対前年比)
    ✔ エリアによっては対前年200%超えの予約動向あり。いよいよ渡航再開へ!
  2. 北米・南米の動向
    ✔ アメリカ、ブラジル行きが緩和措置に素早く反応
  3. ヨーロッパの動向
    ✔ 緩和措置は元々上位ランクインの国々のため顔ぶれに変化はなし
  4. 中東・アフリカの動向
    ✔ 3月出発よりアラブ首長国連邦がトップとなる
  5. オセアニアの動向
    ✔ 対象国オーストラリアの主要都市の予約が大きく伸びている
  6. アジアの動向
    ✔ 2月出発以降のベトナムとタイが大きく躍進
  7. その他地域の動向
    ✔ グアムについては3月出発以降7月や10月の予約も動き出す
  8. 新型コロナウィルス感染症に関する新たな水際対策措置対象国の予約動向
    ✔ 検疫所の宿泊施設での待機期間「求めない」「3日間に変更」対象国の動向
  9. まとめ
  10. INFINI DATA Streamとカスタマイズレポートのご紹介

1.全体の動向(対前年比)

図1:2022年1・2月の空席照会実績(日本到着を除く/対前年比)

空席照会については1,2月共に全方面前年を下回っておりますが、次の予約実績グラフでは大きな伸びを確認頂けます。これまでの海外渡航への期待による空席照会の伸びではなく、緩和政策による海外渡航動き出しにより実際の予約でそのトレンドが大きく表れております。

図2:2022年1・2月の予約取り扱い実績(日本到着を除く/対前年比)

実際の予約取り扱い実績がこちらとなります。2月のオセアニアを除きいずれも大きく前年を超えております。特に2月のアジア、北米・南米は対前年200%を大きく超えており、今回の水際対策措置国に含まれている事から3月以降出発の予約が入り始めたものと推察しております。各エリアの詳細は章の中で分析しております。

2. 北米・南米の動向

図3:2022年1・2月北米・南米エリアの国別出発月別空席照会数

今回の水際対策措置対象国のアメリカの空席照会が2月、3月出発の旅程が一気に伸びてきております。また1月はこれまで表示されてこなかった水際対策措置対象国のブラジルがカナダに次いで伸びてきており、渡航者からの緩和策を踏まえた渡航再開に向けて問い合わせが集中してきているものと推察できます。コロナ禍以降の渡航動向の特徴として出発間際の空席照会や予約が伸びる傾向にある事から5月以降出発の旅程も追って上昇するものと思われます。

図4:2022年1・2月北米・南米エリアの国別出発月別予約取り扱い数

予約実績については全体動向でもお伝えした通り、3月出発のアメリカが特に突き抜けている状態であり帰国後の検疫所指定の宿泊施設での待機が不要となった事が予約実績を大きく伸ばしているのは間違いありません。また予約実績の上位国にブラジルが入っているのも同様です。

3. ヨーロッパの動向

図5:2022年1・2月ヨーロッパエリアの国別出発月別空席照会数

今回の水際対策措置にて検疫所指定の宿泊施設での待機が3日に短縮又は待機なしとなった対象国にヨーロッパの上位国が含まれていますが、もともと常に上位である事から空席照会数でのラインナップの大きな変化は見受けられておりません。

図6:2022年1・2月ヨーロッパエリアの国別出発月別予約取り扱い数

予約の取り扱いにおいても上位のライナップとしてはドイツ(ハブ利用)がトップであることは変わりありませんが、1月の予約取り扱い数は対前年199%、2月は対前年176%と圧倒的な伸びを示しております。

4. 中東・アフリカの動向

図7:2022年1・2月中東・アフリカエリアの国別出発月別空席照会数

中東・アフリカエリアにおける3月出発の空席照会については、アラブ首長国連邦、トルコ、エジプトという順位に変更はありませんが、数字自体は大きく伸びてきております。アラブ首長国連邦の空席照会数が増えている要因としては、ドバイで現在行われている万博関連を中心とした渡航が増えており、これまで控えていたビジネス渡航の問い合わせが見受けられます。

図8:2022年1・2月中東・アフリカエリアの国別出発月別予約取り扱い数

予約取り扱い数については前回報告の通り12月以降はアラブ首長国連邦がカタールを抜いてトップとなっておりましたが3月以降も同じようなトレンドとなっております。実績は全体的に増えており、同じくドバイで現在行われている万博関連のビジネス渡航を中心とした回復傾向が見受けられます。

5. オセアニアの動向

図9:2022年1・2月オセアニアエリアの国別出発月別空席照会数

空席照会についてはこれまでもオーストラリアが実績の大半を占めておりましたが、今回対象国となった追い風もあり、3月出発の空席照会数が大きく伸びております。

図10:2022年1・2月オセアニアエリアの国別出発月別予約取り扱い数

続いて予約取り扱い数となりますが、こちらもこれまでにない好調な実績となっております。特に直近3月出発では水際対策措置対象国のオーストラリアの主要都市シドニー、メルボルン、ブリスベン等の予約数が伸びております。尚、7月出発以降は夏休みへの期待としてニュージーランドが上回っております。

6. アジアの動向

図11:2022年1・2月アジアエリアの国別出発月別空席照会数

アジアエリアの空席照会数が非常に伸びている事はもちろんですが、2月、3月出発のベトナム行きが伸びており後述の予約でも同様のトレンドです。そして4月出発以降はタイが上位となっており、いずれもこれまで上位にランキングしてこなかった国々ですので今後の動向にも影響が出てくると思われます。

図12:2022年1・2月アジアエリアの国別出発月別予約取り扱い数

続いてアジアエリアの予約取り扱い数ですが、前述でお伝えの通り特筆すべきはこれまでのインドを抑えて2月3月出発はベトナムがトップとなりました。これまで直近の日程ではインドが多く予約されておりましたが、1月2月の操作ではハノイを中心としたベトナムの間際予約が顕著に表れております。

7. その他地域の動向

図13:2022年1・2月その他エリアの国別出発月別空席照会数

その他エリアの空席照会数はほぼグアムである点はこれまでと変わりありません。 同様に2,3月出発の問い合わせが増えております。

 

 

図14:2022年1・2月その他エリアの国別出発月別予約取り扱い数

続いて予約取り扱い数です。こちらもメインがグアムである事は変わりありませんが 今年7月及び10月に予約が入り始めてます。先の日程での予約も含まれておりますが 着実に今後の渡航回復に向けた流れといえると思います。

8. 新型コロナウィルス感染症に関する新たな水際対策措置対象国の予約動向

図15:新たな水際対策措置対象国の予約取り扱い数(2021年12月~)

上述の全体動向やエリア毎の予約数でも再三触れて参りましたが渡航再開に向けた期待や実際の予約手配が確実に進んでおりますが、今回の水際対策措置対象国に絞った予約についても右肩上がりに実績が伸びているのを確認頂けます。このトレンドは今後も継続すると思われますので引き続き対象国に絞った分析も進めて参りたいと考えます。

検疫所の宿泊施設での待機期間を3日に変更対象国(グラフ緑色で表示)
イタリア、ウズベキスタン、英国、エジプト、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、ネパール、ノルウェー、パキスタン、フランス

疫所の宿泊施設での待機を求めない(0日)対象国(グラフオレンジ色で表示)
アイスランド、アイルランド、アルゼンチン、エストニア、オーストラリア全土、オーストリア、オランダ、キプロス、ギリシャ、ジョージア、スペイン、スロバキア、スロベニア、タイ、チェコ、チリ、ハンガリー、フィジー、フィリピン、ブラジル(サンカタリーナ州、バイア州)、仏領レユニオン島、米国全土、ベルギー、ポルトガル、リトアニア、リヒテンシュタイン、ルーマニア、ルクセンブルク

9.まとめ

年末にお届けしました「オミクロン株の海外旅行への影響」2021年12月号では秋から回復傾向が見られた渡航動向がその後どのようにオミクロン株の影響を受けたのかを分析しお届けしましたが結果的にはかなり限定的なものでした。むしろ出入国の隔離政策の影響を強く受けているものと推察されました。今回お届けした3月号では2022年1月からは海外諸国の隔離政策の緩和やこれに続く日本の緩和措置への期待もあってか、かなり回復基調にある事はご理解頂けたと思われます。加えて2022年3月1日から対象国は限定されているものの水際措置が緩和されたこともあって対象国を含めて3月はロケットスタートを切っている状況です。長く待ち焦がれていた渡航再開に向けて業界全体が動き出したと言える状況でしょう。

早いもので2020年6月より開始した本連載も今月で14回を迎えることが出来ました。これも毎回記事配信を楽しみにお待ち頂き様々なコメントを返信くださる皆様のお陰と感謝しております。海外渡航の動き出しに際して今後ますます動向分析と報告は皆様にとって必要なものと考えております。2022年度も最新のデータ分析と報告記事を連載して参る予定でございます。楽しみにお待ち頂けましたら幸甚でございます。

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過去の記事一覧
・INFINI DATA Streamで見る世界 第1回【検索・予約への影響はいつから始まったのか】
・INFINI DATA Streamで見る世界 第2回【今検索・予約されているのはいつの旅程?】
・INFINI DATA Streamで見る世界 第3回【旅行会社カテゴリでの分析】
・INFINI DATA Streamで見る世界 第4回【9~11月の空席照会・予約取り扱い動向】
・INFINI DATA Streamで見る世界 第5回【2020年の振り返りと海外渡航復活のヒント】
・INFINI DATA Streamで見る世界 第6回【2021年4月号】
・INFINI DATA Streamで見る世界 第7回【2021年5月号】
・アメリカ行きの需要が回復の兆し、2021年5月の海外旅行動向【INFINI DATA Streamで見る世界 第8回 2021年6月号】
・ホリデーシーズンへの期待感が高まる、2021年6月の海外旅行動向【INFINI DATA Streamで見る世界 第9回 2021年7月号】
・ワクチン接種証明書運用開始、対象国の動向は?2021年7月の海外旅行動向【INFINI DATA Streamで見る世界 第10回 2021年8月号】
・グアムがワクチン接種証明書の対象に! 2021年8月の海外旅行動向|INFINI DATA Streamで見る世界 第11回 2021年9月号
・予約数は増加傾向!2021年9・10月の海外旅行動向|INFINI DATA Streamで見る世界 第12回 2021年10・11月号
・オミクロン株の影響はどうだったのか?2021年11月の海外旅行動向|INFINI DATA Streamで見る世界 第13回 2021年12月号

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