INFINI DATA Streamで見る世界 第2回【今検索・予約されているのはいつの旅程?】|特集
このコーナーでは弊社のマーケットデータ分析サービス「INFINI DATA Stream」を利用してINFINI上で行われた検索数や予約数のデータを分析し、色々な角度からご紹介していきます。第2回は「今検索・予約されているのはいつの旅程?」と題し、現在、インフィニを通して行われている検索・予約がどのような日程、旅程なのかを分析していきたいと思います。※今回は分析の性質上、良く似たグラフが続きます。予めご了承ください。
1.検索数の動向
まずは2020年1月に行われた検索から見ていきましょう。こちらは旅程の出発日を月毎に集計したグラフになります。前回記事【検索・予約への影響はいつから始まったのか】でご紹介した通り、1月の検索はまだ新型コロナウイルス感染拡大による影響を受けていません。特徴的なのは翌月出発の旅程が非常に多いことと、7、8、12月といったホリデーシーズンの検索が他の月に比べて少し多い、といったところでしょうか。また、当月より2か月後の検索数の方が多い、といった傾向も見えてきます。こちらを基準としてこの後の月も見ていきたいと思います。
2月になると新型コロナウイルス感染拡大の影響から全体の検索数が減り始めています。当月出発旅程の検索数を基準にすると、翌月、翌々月出発旅程の検索はかなり減っていると考えることができます。5月出発旅程の検索数については1月とほぼ変わっていません。通常、日付が近くなると検索数は増えますので、変わっていないということは減っていることになりますが、やはり3、4月の落ち込みの方が目立ちます。つまり2月の段階では「これは2~3ヶ月様子見だな」という意識と「ゴールデンウィークまでには落ち着くのでは?」という希望的観測があったものと推測されます。
3月に行われた検索では検索数全体の減少と翌月、翌々月出発旅程の割合の低下がさらに進みます。ここでもまだホリデーシーズンについては他の月と比べて多く検索されていることが分かります。
4月には検索数全体がさらに減少します。検索された旅程はとうとう翌々月出発の旅程より7、8月出発の旅程が多くなります。
5月になると全体の検索数は下げ止まります。5月から見ると翌々月にあたる7月出発の旅程が多く検索されており、夏休みに向けての期待感が数字にも表れています。また、12月の検索数も多く、当月出発旅程と同程度の検索数となっており、こちらも期待度の高さが伺えます。
これまでの月と比べるとかなり突出したグラフとなっています。この頃の状況を振り返ると、5月25日に全国で緊急事態宣言が解除され、自粛解禁ムードが強くなっていました。夏休みに向けて海外旅行も視野に入れていた方が多かったのだと思われます。しかし同時に当月出発旅程の検索数は低調です。欧米では感染が拡大していた時期でもありますので、すぐに海外に行ける状況には無かったことも読み取れます。
このまま行くと7月全体の検索数は6月とほぼ同等になりそうです。依然として検索数は少ないままですが、グラフの波形は1月に近い形となり、緊急事態宣言やその後の自粛解禁ムードによる混乱はある程度収まったように見えます。
2.予約数の動向
続いて予約数の動向ですが、キャンセルも加味した予解約実績については引き続きキャンセルが予約を上回っている状況が続いています。そこで今回はキャンセルを加味しない予約の動向からトレンドを追っていきたいと思います。
2020年1月から見ていきます。特徴は予約月の翌月出発旅程が多い、予約当月出発の旅程より翌々月出発の旅程が多い、ということが分かります。これは予約は出発日の1~3ヶ月以内に行われる割合が高いことを示しています。また検索ほどホリデーシーズンの数値が上がっていないことも見て取れます。日付が先の旅程は検索するけど予約はまだしない、ということが多いようです。
中国での新型コロナウイルス感染拡大の予約への影響は2月に始まっていました。全体的に予約数が落ち始めていますが、特に中国の落ち込みが大きかったです。2月から見ると翌々月に当たる2020年4月出発の旅程では予約の減少が顕著に表れています。
3月に入ると予約のキャンセルがピークを迎えます。グラフを見ると当月出発の旅程の予約が多いように見えますが、実は4、5月の予約が少なすぎて相対的に多く見えているだけで、実際には当月出発旅程の予約も前月比で50%程度となっています。
4月に入るとキャンセル数は落ち着き始めます。が予約数の落ち込みも顕著です。その中でも5、7、8月出発の旅程が比較的多く予約されているようです。予解約で見るとキャンセルが多く、埋もれてしまいますが、予約だけに注目すると3月に予約を控えていた部分が4月に少し動き始めていたということが見えてきます。
5月になると全体の予約数がさらに落ち込みます。6、7月が多く予約されているように見えますが、これもその他の月出発の旅程が少なすぎて比較対象として見れないような状態です。
6月の予約も5月とあまり状況は変わりません。7、8月の予約が多いのは検索の方と同様に自粛解除ムードの高まりに伴うものと推測されます。
7月に入ると今までになかった傾向が現れます。グラフの赤いエリアは「その他」でグアムが含まれています。残念ながら7月1日からの受け入れ再開は延期になってしまったようですが、年末に向けた予約が入って来ているようです。
3.まとめ
今回は旅程の出発日にフォーカスすることでここまでの各フェーズでどのような出発日の検索、予約が行われていたのかを探ってきましたが、いかがでしたでしょうか?最後にご紹介した7月の予約動向では「その他」エリア(グアム)の年末に向けた予約が目立ちましたが、検索動向の方では「その他」エリアの検索が特に増えているといったことはありませんでした。おそらくこれは予約が解禁された座席を一旦ブロックで押さえたような形なのだと推測されます。年末には海外旅行へ行けるようになっていて欲しいところです。さて、検索数全体(週次)についてですが、前回ご紹介した通り検索数の落ち込みについては4月に底を打っています。今回は4月以降の検索数の回復にフォーカスして見ていきたいと思います。
最初の週が少ないのは4月が週の途中から始まっている為です。もちろんコロナウイルス感染拡大以前とは比べるべくもありませんが、5月以降は概ね回復基調です。特に5月下旬からはヨーロッパの検索が目に見えて増えています。これはイタリア等の国が5月中旬にロックダウンを緩和し、国境を開放すると発表したことと無関係ではないと思います。当時は「まだ早いのではないか?」と、懐疑的な雰囲気でしたが、コロナウイルス封じ込めの難しさと、仮に封じ込めに成功したとすると今度は国境開放のハードルが上がってしまう、といった点も考え、もはや封じ込め一辺倒ではいられないというのがイタリアやEUの判断でしょうか。アフターコロナ、withコロナの世界へ向けて日本が取るべき対策、国際交流再開へのシナリオについても議論を深めていかなくてはならないと改めて感じました。
次号では今検索されている国、都市、旅行会社種別による動向の差にフォーカスして見ていきたいと思います。
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4.INFINI DATA Streamのご紹介
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