INFINI DATA Streamで見る世界 第1回【検索・予約への影響はいつから始まったのか】|特集

written by:株式会社インフィニトラベルインフォメーション 企画部

新型コロナウイルスの流行に伴う移動制限や出入国の制限により航空・旅行業界は深刻なダメージを受けています。一刻も早い事態の収束を願っています。このコーナーでは弊社のマーケットデータ分析サービス「INFINI DATA Stream」を利用してINFINI上で行われた検索数や予約数のデータを分析し、色々な角度からご紹介していきます。第1回は「検索、予約への影響はいつから始まったのか」と題し、コロナウイルス関連の報道が検索/予約動向にどのように影響を与えたかについて見ていきたいと思います。

1.日本におけるコロナウイルス関連の主な報道とトピックス

  • 12月31日

    中国武漢市における原因不明の肺炎の集団感染としてWHOに初めての報告

  • 1月7日

    原因が新型コロナウイルスであることが確認される

  • 1月9日

    最初の死者が確認される

  • 1月16日

    日本における最初の感染者を確認

  • 1月20日

    ヒトーヒト感染が確認されたことが発表される

  • 1月23日

    武漢市が人の出入りの制限を始める

  • 1月27日

    中国へ発着する航空便の約9%が運航を停止

  • 2月1日

    「ダイヤモンドプリンセス」から香港で1月25日に下船した男性の感染を確認

  • 2月5日

    日本政府の指示により「ダイヤモンドプリンセス」大黒埠頭沖で隔離開始

  • 2月13日

    日本で最初の新型肺炎による死亡者を確認

  • 2月14日~

    世界各国で感染者を確認

  • 3月11日

    WHOが世界各地での流行をパンデミック相当との見解を示される

  • 3月16日

    中国共産党は支援の医療従事者を湖北省から徐々に撤退させる方針、武漢市内にあった16の臨時病院を10日までに休業

  • 3月19日

    イタリアの死亡者数が中国を上回り、世界最多に

  • 3月26日

    アメリカの感染者数が中国、イタリアを上回り、世界最多に

  • 4月7日

    日本、一部の区域において緊急事態宣言を発出

  • 4月16日

    日本、緊急事態宣言の対象区域を全国へ拡大

  • 4月18日

    日本での感染者が1万人、死者数は200人を超える

  • 5月14日

    日本、一部の区域で緊急事態宣言解除

  • 5月21日

    世界全体の感染者数が500万人を超える
    日本、さらに3県で緊急事態宣言解除

  • 5月25日

    日本、全国で緊急事態宣言解除

  • 5月27日

    アメリカの死者数が10万人を超える

2.検索数の動向

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図1:日本到着を除いた2020年1月以降のエリア別検索数(週毎)

検索数を見てみると、1月の最終週辺りからアジア地域の検索数がわずかに下がり始めていますが、この時点では顕著な落ち込みではなく、週毎の変動と見分けがつかない程度です。2月に入るとアジア地域の検索数は目に見えて減少し始めます。2月下旬にはアジア以外の地域でも検索数が減り始め、4月に入ると平常時の1/7~1/9ほどまで落ち込みます。また、この中には機械的な検索も多く含まれていると推測でき、(平常時に比べると曜日変動が少ないため※図2)。実際に旅行者が検索している数はかなり少ないものと思われます。

新型コロナウイルス関連の報道は1月初旬から始まっていたものの、死者に関する報道は1月20日に始まり、この頃から中国発着のフライトは減便が始まっていました。1月30日までは「武漢での出来事」としての報道が多く、2月に入ってからは中国以外の地域での感染拡大が話題の中心にシフトしました。またクルーズ船の話題は2月頭から増え始め、2月の中旬にピークを迎えています。※2

こうしてみると報道と検索数が実際に減少し始める時期にはかなりズレががあったことが分かります。2月14日以降、世界各国で次々に感染者が確認されていく中でも減少は一定度に留まり、3月上中旬になってもう一段の減少が始まることとなります。

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図2:4月以降のデイリー検索数動向

3.予約数の動向

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図3:日本到着を除いた2020年1月以降のエリア別セグメント予解約数

続いて予約数の動向を見ていきます。まずアジア地域については1月下旬からに大きく影響が出始めていることが分かります。アジア以外の地域がキャンセルされ始めたのは2月中旬~下旬であり、その頃からキャンセル数が予約数を上回り始めています。

アジア地域の検索数の減少が2月上旬から始まったことと比べると予約数の方はそれより1~2週間ほど早い反応がありました。アジア以外の地域の予約数減少についても同様です。しかし、実際にキャンセル数が予約数を上回るのはアジア地域で2月下旬、それ以外の地域では3月上旬です。これはまだ人々がこの時点では先の日付の予約は続けていたことを示唆しています。2月中旬からの世界的な感染拡大により、影響の大きさを理解するとともに状況が長期化しそうだという意識が芽生えていったことが関係しているようです。OAGが発表している「航空会社のスケジュールに対する影響を把握」※3によると、供給座席数が大きく減り始めるのは3月の中下旬ですので供給座席数の減少より前にキャンセルが行われていたことが分かります。

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図4:新規予約とキャンセル数(日本到着も含む)

こちらは新規予約を緑、キャンセルをオレンジのバーで表し、予解約数(新規予約からキャンセルを引いたもの)を線で表したグラフで予約日をベースとして週ごとに集計したものです。1月の下旬から新規予約の減少、キャンセル数の増加が始まっていることが分かります。その後、新規予約は減り続けるもののキャンセル数はほぼ変わらず3月中がキャンセル数増加のピークとなりました。3月は各国が感染が広がる地域からの入国を制限(14日間の自主隔離等)を開始し始めた時期でもありますので、急速なキャンセル数の増加も頷けます。4月に入ると徐々にキャンセル数も減り始め、5月にはほぼキャンセルがされ尽くされたようですが、キャンセル数が少しだけ予約数を上回るような状況が続いています。

4.まとめ

検索数と予約数を見比べてみると検索は先のものを調べる、予約のキャンセルは近い方からキャンセルされる、という傾向が明らかになりました。同様に今後コロナウイルスの感染が収束し、出入国の制限が緩和されてくると先に検索数の方に増加の傾向が見えてくると思いますので、引き続き注視していきます。今後もINFINI DATA Streamのグラフから現在の検索、予約の状況を様々な切り口でご紹介していきたいと思います。次回はフライトの出発日ベースでの検索、予約について掘り下げていく予定です。ぜひご覧ください。

※1 参考 新型コロナウイルス感染症の流行_(2019年-) / wikipedia日本語版
※2 参考 【調査報告】コロナウイルスはいつから報じられた?WHOはいつから対応していた?コロナウイルスに関する報道まとめ / PR TIMES / 株式会社トドオナダ
※3 参考 航空会社のスケジュールに対する影響を把握 / OAG

5.INFINI DATA Streamのご紹介

マーケティングデータ分析プロダクト。本稿で紹介させていただいたようなINFINIの検索回数、予約数等のデータを様々な角度から分析いただけるツールです。プラットフォームとしてDOMOを利用しており、INFINIのデータを分かりやすく可視化し、お客様のビジネスに直接役立てていただけます。ご興味のある方は担当営業、もしくはINFINI FORESTお問い合わせフォームよりお問い合わせください。

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