INFINI DATA Streamで見る世界 第4回【9~11月の空席照会・予約取り扱い動向】|特集
このコーナーでは弊社のマーケットデータ分析サービス「INFINI DATA Stream」を利用してINFINI上で行われた検索数や予約数のデータを分析し、色々な角度からご紹介していきます。第4回は「9~11月の空席照会・予約取り扱い動向」と題し、検索・予約動向中心に分析していきたいと思います。しばらく間が空いてしまいましたが再開していきます!
■ポイント
✔ 空席照会数は3ヶ月続けて減少傾向
✔ 予解約数は回復傾向、9-10月に予約がキャンセル数を上回る
1.検索数の動向
まずは4月以降の空席照会数の推移について見ていきます。前回の記事【旅行会社カテゴリでの分析】では4月以降、7月までは回復基調ののち8月はやや低調とお伝えしておりました。その後も空席照会数は下がり続け11月の初旬には底を打ったと思っていた4月の水準を下回りました。旅行業界を取り巻く厳しい状況が伺える結果となっています。エリア毎の比率についてはこれまでと同様大きな変動は見られませんでした。
「いつの旅程が検索されているか?」の9-11月分を見ていきたいと思います。まずは9月分ですが、翌月出発旅程のグラフが突出して高くなっています。8月に続きビジネス需要や本気度の高いレジャー需要が想起されます。ホリデーシーズンである12月の空席照会数数はやはり低調です。9月の段階では年末の予定について、世間は様子見モードであったことが分かります。
続いて10月の空席照会の出発日、見るべきポイントは2つ、当月(10月)と翌々月(12月)の空席照会数と21年3月出発旅程の空席照会数ですね。まず12月の空席照会数が当月を上回っていることから年末まで日程が差し迫ってきたこと、航空会社が徐々に運航を再開し始めたことから年末の旅行に少し期待感が出てきたことが伺えます。また21年3月にも周りの月よりも多く空席照会が行われたことが分かります。こちらも終息に向けた期待感の表れ、期待感に反応した早めの座席状況の確認といった印象です。
11月です。翌月出発旅程の空席照会数が群を抜いています。11月は日本国内での感染拡大が第三波か?といった報道がされ始めた時期です。月初はまだそこまで深刻な状況ではありませんでしたので、年末年始への期待感は継続していたものと思われます。21年のグラフについても僅かではありますが、3月8月といったホリデーシーズンの空席照会が少し多いことが見て取れます。
9-11月に行われた検索の割合です。業務渡航系旅行会社では8月と比べて中国の割合が若干下がり、ボリュームは大きくないものの世界各国が検索され始めたように見えます。やはりビジネスでは行かざるを得ないものもあり、少しずつ動きが出てきているようです。
2.予約数の動向
まずは予解約全体の動向です。グラフは2020年4月以降の予解約のみ表示しています。9月の下旬以降、ようやく予約数がキャンセル数を上回るようになりました。しかしこれは先に取られていた予約のキャンセルがされ尽くしただけ、という見方も出来ますのでまだまだ胸を張って回復した!と言える状況ではありません。
9月以降の部分、さらに予解約数をエリア別に見てみますと、ヨーロッパ、中東・アフリカ、オセアニアについては9月以降少しですが、プラスの状態です。アジア地域では10月以降は予約数の方が多い状態が続いています。北米・南米については週によって未だにキャンセルが多いことがありますが、概ねプラス、その他(ほぼグアム)については引き続きキャンセルが入っている模様です。
この部分さらに国別に深掘りしていきたいと思います。全体にしてしまうと見づらくなりますのでアジアとヨーロッパ、中東・アフリカをピックアップして見ていきます。まずはアジア地域。赤い線が0ラインです。こうして見ますと、アジア地域の予約は中国一辺倒ではない、という所が見えてきます。空席照会においては中国のボリュームが圧倒的でしたが、実際の予約といった部分ではその他の国も予約が取られています。また他の地域の予約がプラスに転じた9月下旬にマレーシア、ベトナムといった国で大きなキャンセルが発生したことが、アジア地域の予約がプラスになるのが遅れた原因であることもが分かります。(少し前に入っていたブロックと思われる予約がキャンセルされたんですね。)
続いてヨーロッパです。アジア地域と比べると絶対数は少ないですが、マイナスが少ないことが分かります。ドイツが多いのはやはりフランクフルトでのトランジットでしょうか。しかしそれ以外の国についても多様な予約が行われていることが分かります。どうしても行かなければならないビジネスや帰国者がドイツ経由で渡航しているものと思われます。
中東・アフリカです。こちらもアジア地域と比べると数は少ないですが、アラブ首長国連邦、トルコ、カタールといった国にはある程度まとまった数の予約が入っているようです。各国の感染状況や規制の状況を考えると恐らく帰国者が主であると思われますが、業務渡航カテゴリの旅行会社でも実績が上がり始めていますのでビジネス渡航が少なからず含まれています。
次に9月に行われた予約の出発日トレンドです。これまでの月と大きく異なり予約の翌月のグラフが大きく伸びています。空席照会数のトレンドでも同じ傾向でしたがやはり近い日付での予約は実際に搭乗する確率の高い、本気度の高い予約であると思われます。また少し先になりますが、3月のグラフが少し高いのも、より強い期待感が見えます。
10月予約の旅程ですが、9月分とよく似た感じにはなっていますが、当月のグラフがより高くなっています。これは9月よりさらに近い日程での予約が多かったことを示唆しています。
11月予約の旅程です。ほぼ10月と同じ傾向ですね。間違えて同じグラフを貼ったかと思いました。かなり先ではありますが、21年9月にグループの予約が行われたのがグラフに表れています。
続いて旅行会社カテゴリ別の動向です。中国は相変わらずの存在感ですが、ほぼ全てのカテゴリでアメリカ行きの旅程が増えています。アメリカ国内では感染拡大の傾向は続いていますが、ハワイ向けのレジャー以外にアメリカ本土への旅程も取り扱いが発生しており、やはり国同士の結びつきの強さを感じます。ベトナム、インドといった国も目立っておりますが、こちらは帰国者の需要がメインとなります。
3.まとめ
前回の記事から3ヶ月空いてしまいました。お待たせしてしまい申し訳ございません。これからまた毎月分析していきたいと思います。さて、この3ヶ月間を振り返ってみると、空席照会数が少しずつ下がってきています、この傾向には非常に危機感を感じています。旅行業界で聞こえてくるようになってきた廃業や事業縮小といったニュースがこういう風に表れるのかと戦慄を禁じ得ません。一方で少しずつ予約の取り扱い数が増えています。キャンセルがされ尽くしたという側面もあるとは思いますが、事実として予約が増えているのは間違いありません。
また今のところ動きがあるのは帰国者や、緊急度の高いビジネス渡航といった限られた領域であると思われますが、それ以外の領域でも入国規制/隔離措置の緩和、デジタル証明、トラベルバブル、保険商品の整備、ワクチンの接種開始などの明るい話題も聞こえてきています。これらですぐに状況が改善するとは言えませんが、その時は確実に近づいてきています。
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過去の記事一覧
・INFINI DATA Streamで見る世界 第1回【検索・予約への影響はいつから始まったのか】
・INFINI DATA Streamで見る世界 第2回【今検索・予約されているのはいつの旅程?】
・INFINI DATA Streamで見る世界 第3回【旅行会社カテゴリでの分析】
4.INFINI DATA Streamのご紹介
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