INFINI DATA Streamで見る世界 第7回【2021年5月号】|特集

written by:株式会社インフィニトラベルインフォメーション 企画部

このコーナーでは弊社のマーケットデータ分析サービス「INFINI DATA Stream」を利用してINFINI上で行われた検索数や予約数のデータを分析し、色々な角度からご紹介していきます。第7回 2021年5月号では、2021年4月の空席照会・予約データや各国のワクチン接種状況を分析し、海外旅行がいつ頃再開されるのか、どの国に行けるようになるのか、等の視点から最新の動向を探っていきたいと思います。

目次

  1. 空席照会数の動向
    ✔ 全体的には微減(ほぼ維持)
  2. 予約取り扱い数の動向
    ✔ 予約取り扱い数は対前月比83%
    ✔ 予約取り扱い数はインド、中国、アメリカが好調、予解約数では中国、ニュージーランド、インドネシアが好調
    座席供給数と世界のワクチン接種状況
    ✔ 中国がワクチン接種数でアメリカを逆転
  3. まとめ
    ✔ 先月からあまり大きな変化はなかった
    ✔ 明るい兆候が見えるも課題が多く厳しい状況
  4. INFINI DATA Streamのご紹介

1.空席照会数の動向

図1:2021年の空席照会数(日本到着を除く/週次)

まずは空席照会のデータを分析していきたいと思います。見やすいように2021年1月以降を表示していますので、右4本が4月の実績です。3月と比べて大きな変動はありません。週ごとの凸凹が減り、均質化しています。全体では微減といったところでしょうか。内訳の変化についても凹凸が減っています。わずかに北米・南米の割合が安定しているでしょうか。

図2:2021年4月の国別空席照会数TOP10

次に空席照会の多かった国をランキング形式で分析していきたいと思います。3月に続き、アメリカ合衆国が圧倒的に多いですね。2位と3位が入れ替わり、タイが2位韓国が3位となっています。先月号で珍しいと書いたオーストラリアはランク外となり、インドネシアが入って来ています。この辺りは特に驚きはありませんね。インフィニだから特に、という側面は強いかもしれませんが、アジアの国々が多くランクインする結果となっています。

図3:2021年4月の出発月別空席照会数

次に目的地国別、出発月別の分析です。先月同様「5月(翌月)出発」の「アメリカ合衆国」が最多という結果でした。アメリカ合衆国、カナダにおいては他の国と比べて5月(翌月)出発旅程の検索の割合が突出して高いですね。先月は全体の傾向として翌月出発が多かったと書きましたが、その傾向を創り出していたのが上記の2国だったようです。

2.予約取り扱い数の動向

図4:2021年の予約取り扱い数動向(週次/全体)

予約取り扱い数の動向です。このコーナーでは特別に説明がない限り「予約取り扱い数」での分析とさせていただきます。本来であればキャンセルが加味されている「予解約数」で分析したいのですが、未だに予約がされてもその後キャンセルされることが多く、上手く分析できないため、キャンセルを加味しない「予約取り扱い数」での分析を基本とさせていただきます。
空席照会と同様に2021年1月以降のみの表示、右4本が3月の実績です。全体では対前月比75%程度となっています。先月の急増から少し落ち着いたような状況です。しかし先々月と比べればまだ多いです。内訳では引き続きアジアが多くなっています。

図5:2021年4月の予約取り扱い数TOP10

次に予約取り扱い数の多かった国のランキングです。先々月からの傾向としてインド行き旅程の取り扱い数が増加しており、4月も引き続き取り扱い数が多かったです。その下ではニュージーランドが順位を落とし、ドイツもTOP10から外れています(14位)。代わりにカタールがTOP10入りしていますが、先月も11位でしたので、順当に繰り上がったといったところでしょうか。

図6:2021年4月の出発月別予解約数

こちらは予解約数でのランキングとなっています。予約取り扱い数と大きく異なり、中国が1位、ニュージーランドが2位ですね。予約取り扱い数では1位と3位に入っていたアメリカ合衆国、インドは大きく順位を落としています。キャンセル数も多く、実際に渡航されている数も少ない、という事なのかもしれません。中国やニュージーランド、インドネシアといった国が実際に渡航されている国であると思われます。

図7:2021年4月の出発月別予解約数(国別)

4月-6月出発のインド・中国行き旅程が多く取り扱われました。帰国者の需要と思われますので割と近い日付で予約が行われているという事のようです。しかしインドではその後感染が拡大しており、実際の渡航は難しくなっているかもしれません。

図8:2021年4月の出発月別予解約数(エリア別)

こちらのグラフも予解約数の分析となっております。3月に行われた予解約を出発月毎にエリアで色付けしてあります。7月-9月出発の旅程では北米・南米でキャンセルが上回っています。その先の日程で来年の1月や3月分で予約が入っているのは先の旅程の仕込みであると思われます。こちらも先月から継続した傾向ですね。
 

3.世界のワクチン接種状況

図9:世界のワクチン接種状況
グラフが表示されない場合はこちら

4月末の世界のワクチン接種の状況です。中国がワクチン接種回数ではアメリカを抜きました。中国、アメリカ、インドの3ヵ国が他国を引き離しています。アメリカでは野球場で観客への接種を行うなど接種ペースの上昇に躍起になっているようです。日本とはだいぶ状況が違うことに驚かされます。

図10:世界のワクチン接種状況(人口100人当たりの接種回数)
グラフが表示されない場合はこちら

次にご紹介するのは同じ4月末の世界のワクチン接種の状況ですが、人口100人当たりの接種回数※です。ワクチン接種率で世界をリードしているイスラエルで100を超えているのはほぼ全員が1度目の接種を終え、2度目の接種が始まっているということのようです。報道をではこれが50を超えてくると新規感染者数が抑制されていくのではないかとのことでした。チリ、イギリス、バーレーン、アメリカ、ハンガリーといった国々で80に迫る数字になっていますね。中国やインドは接種回数自体は多いのですが、人口100人当たりでは20にも達していません。それだけ人口が多いのですね。
対して日本は4月末時点で2.76です。このままだとワクチン接種が進んだ国の間で往来が再開されたときに日本はその輪に加わることが出来ないといったことになりそうです。ワクチン接種、早く進むといいですね・・・

※接種回数上位国の人口100人当たりの接種回数を表示しています。人口が少ない国や地域ではイスラエルと同じように100を超えている国や地域もありますが、ここでは除外しています。
 

4.まとめ

予約取り扱い数は前月比83%と、(これまでの状況からすれば)好調だった3月から少し後退しましたが、それでも2月と比べれば125%程度となっており、先行きに期待が出来る水準ではないでしょうか。しかし、緊急事態宣言も延長となり、東京オリンピックの開催にも大きな逆風が吹いています。また3でご紹介した通り、日本のワクチン接種の遅れも今後の国際的な往来再開への懸念事項となりそうです。これらのポイントを注視しながら空席照会、予約取り扱いや予解約の数字と見比べていくことで海外渡航の現状に関する理解を深めていき、海外旅行がいつ頃本格的に再開されるのか、そのサインをデータの側面から逃さず捉えていきたいと考えています。

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過去の記事一覧
・INFINI DATA Streamで見る世界 第1回【検索・予約への影響はいつから始まったのか】
・INFINI DATA Streamで見る世界 第2回【今検索・予約されているのはいつの旅程?】
・INFINI DATA Streamで見る世界 第3回【旅行会社カテゴリでの分析】
・INFINI DATA Streamで見る世界 第4回【9~11月の空席照会・予約取り扱い動向】
・INFINI DATA Streamで見る世界 第5回【2020年の振り返りと海外渡航復活のヒント】
・INFINI DATA Streamで見る世界 第6回【2021年4月号】

5.INFINI DATA Streamのご紹介

マーケティングデータ分析プロダクト。本稿で紹介させていただいたようなINFINIの検索回数、予約数等のデータを様々な角度から分析いただけるツールです。プラットフォームとしてDOMOを利用しており、INFINIのデータを分かりやすく可視化し、お客様のビジネスに直接役立てていただけます。ご興味のある方は担当営業、もしくはINFINI FORESTお問い合わせフォームよりお問い合わせください。

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