グアムがワクチン接種証明書の対象に! 2021年8月の海外旅行動向|INFINI DATA Streamで見る世界 第11回 2021年9月号|特集

このコーナーでは弊社のマーケットデータ分析サービス「INFINI DATA Stream」を利用してINFINI上で行われた空席照会数や予約数のデータを分析し、色々な角度からご紹介致します。第11回 2021年9月号では、「グアムがワクチン接種証明書の対象に! 2021年8月の海外旅行動向」と題し、ワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)対象国を中心に2021年8月の空席照会・予約データや各国のワクチン接種状況を分析し、海外旅行がいつ頃再開されるのか、どの国に行けるようになるのか、等の視点から最新の動向を探って参ります。
\目次/
- 全体の動向(対前年比)
✔ 空席照会数は低調、アジア以外の地域で対前年比100%越え - 北米・南米の動向
✔ 引き続き業務渡航が好調 - ヨーロッパの動向
✔ 予約取り扱い数ではドイツが存在感を示す - 中東・アフリカの動向
✔ アラブ首長国連邦、カタールを中心に好調を維持 - オセアニアの動向
✔ 予約取り扱いは対前年比は改善も厳しい状況が続く - アジアの動向
✔ 他地域から回復が遅れている中、中国が好調 - その他地域の動向
✔ グアムがワクチン接種証明書の対象地域となる - 世界のワクチン接種状況
✔ 中国が接種率でも続伸 - ワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)対象国の動向
✔ 予約数への影響は限定的 - まとめ
- INFINI DATA Streamのご紹介
1.全体の動向(対前年比)

8月も前月に続き全体的に空席照会数が低調です。中東・アフリカがやっと100%を超える程度になっています。次いで北米・南米エリアが対前年比70%となっており、各エリアの傾向的にも前月と非常に似通った状態が続いています。

予約取り扱い数ですが、空席照会数とはだいぶ様相が異なってきました。対前月ではほぼ横ばいですが、昨年の8月以降、予約が低調となっていた事もあり、対前年比では大幅な数値の改善が見られました。アジア以外の地域で対前年比100%を超えており、中東・アフリカ、オセアニアエリアでは200%前後の割合となっています。
2. 北米・南米の動向

北米・南米エリアの国別実績を詳しく見ていきます。前月と同様、翌月出発旅程のグラフが非常に高くなっていますが、11月、12月出発旅程の部分のグラフも少し高くなってきました。ホリデーシーズンへの期待感はまだ消えてはいないと見て良さそうです。北米・南米エリアの空席照会数は対前年比75%、対前月比では92%程度と、引き続き減少トレンドです。

次に8月の予約取り扱い数動向です。前月同様、アメリカ合衆国行きの旅程が幅広い日程で予約されています。12月出発旅程の予約取り扱い数は少し目立たなくなっていますが、代わりに4月出発旅程の動きが見えてきました。アメリカ合衆国のみに絞って目的地を見てみますと、ホリデーシーズンのホノルル行き旅程の取り扱い数が少し寂しくなってきています。12月出発旅程ではほぼ半数がホノルル行きとなっていますが、11月、1月出発の旅程では1/3にも届いていない状況です。

3. ヨーロッパの動向

8月に行われたヨーロッパエリア行き旅程の空席照会数です。前月から引き続き直近2-3ヶ月の空席照会が中心ですので、帰国、業務渡航が需要の中心であると思われます。12月のグラフが少し前後の月より高くなっているようです。ボリュームは大きくないですが、ホリデーシーズンのヨーロッパ、という観点で調べてみようと思われている方が一定数いらっしゃるようです。

8月のヨーロッパ国別の予約取り扱い数では空席照会の方では引き続きドイツをハブとした旅程が選ばれることが多いようです。傾向も変わらず、業務渡航、帰国を中心とした需要の様です。12月の予約が増えている、といった傾向は特に見えませんので空席照会の方で見えた年末年始ヨーロッパ行きのレジャーについてはまだ予約まで至っていない様です。
4. 中東・アフリカの動向

中東・アフリカエリアの国別・出発月別の空席照会数を見ていきたいと思います。翌月出発(9月)の旅程が多く照会されていることが分かります。国別ではアラブ首長国連邦が多くなっています。アラブ首長国連邦への一極集中の傾向は先月より更に強まっているのが見て取れます。12月のグラフが少し盛り上がっているのはヨーロッパと同じ理由でしょうか。

続いて予約取り扱い数です。先月と同様の傾向となっています。アラブ首長国連邦、カタール、トルコが多く予約されています。これらの国々は出入国規制が比較的に緩和されていること、また世界的に減便がされている中で中東系航空会社の運航率が高く、ヨーロッパへの中継地点として機能しているという点も伺えます。
5. オセアニアの動向

空席照会の月別の傾向としては他のエリアとあまり差異はありません。翌月(9月)出発旅程が多く照会されています。対前年比では32%と非常に低調です。

続いて予約取り扱い数です。前月から引き続きニュージーランド行きで出発日が来年の旅程が多く予約され、対前年比では184%となりましたが、対前月比では85%となっています。オセアニア行きの旅程の予約については厳しい状況が続いています。
6. アジアの動向

アジアエリアでは前月同様、他エリアと比較して当月出発である8月出発の空席照会の比率が高いです。またごく僅かに12月のグラフが高くなっています。限定的ではありますが、ホリデーシーズンに向けてアジアのリゾート地を検討した方がいらっしゃったようです。

続いて予約取り扱い数です。こちらもあまり状況は変わっていません。国別では先月と同様、中国が圧倒的多数となっています。先月よりさらに中国の割合が高くなっていますね。ワクチン接種率でも中国が存在感を出してきています。続いてインドですが、インドに関しては前月までの傾向と同様、キャンセルも多く、実際に渡航されている方は少ないものと思われます。しかし、多くの地域で集団免疫を獲得し、規制が緩和され始めているというニュースも聞こえてきておりますので、今後の状況は要チェックですね。
7. その他地域の動向

その他エリアです。こちらはほぼグアムの分析となっています。対前年比15%程度と先月に引き続き、非常に低調です。やはりレジャー旅行の回復にはまだ時間がかかるものと推察されます。

続いて予約取り扱い数です。対前年比で102%となっています。来年3月に大口の予約が入ったことが影響しているようです。グアムは米国内では唯一ワクチン接種証明書の適用対象となりました。今後の動向に期待したいところです。
8. 世界のワクチン接種状況
8月末の世界のワクチン接種の状況をお伝えします。なお、表示対象をワクチン接種回数上位10ヵ国+日本、としております。中国のワクチン接種数が突き抜けすぎて他国の状況が見づらくなってきました。来月は中国のグラフは省略させていただくかもしれません。インドも順調に接種数を伸ばしています。アメリカも先月に比べて少し接種ペースが上昇したでしょうか。日本の接種回数も順調に増加し、8月末時点で世界で5番目にワクチン接種回数の多い国となりました。ワクチン接種数の上位国は人口の多い国順に近い並びになってきました。
続いて8月末の人口100人当たりの接種回数です。こちらも表示対象をワクチン接種回数上位10ヵ国+日本、としております。こちらでも中国がイギリスを抜き、ワクチン接種数上位国の中で接種率においてもトップとなりました。ヨーロッパ各国の接種率は順調に伸びていますね。日本のワクチン接種率も100に近いところまで来ました。
9. ワクチン接種証明書対象国の動向
2021年7月26日より受付が開始された海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)は当初、対象5ヵ国でスタートしましたが、8月末時点では以下の25ヵ国において隔離処置の免除等が受けられます。
イタリア,エクアドル,エストニア,オーストリア,ガボン,サモア,スリランカ,スロバキア,セントクリストファー・ネービス,セントビンセント,タイ(プーケット島、サムイ島、パンガン島、タオ島のみ),デンマーク,ドイツ,トルコ,パプアニューギニア,パラオ,フランス,ブルガリア,米国(グアムのみ),ベトナム,ベリーズ,ポーランド,香港,ホンジュラス,リトアニア
※最新の状況は外務省 海外安全ホームページ(以下)にてご確認ください。
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/certificationlist.html
ではこれらの国行き旅程の取り扱いについて見ていきましょう。

現時点で対象国行きの予約で大きな動きはありません。実際の予約がされるまでにはまだ時間がかかりそうです。日本帰国時の隔離措置免除が行われない限り、旅程に+2週間の隔離を織り込んでの旅行になりますので、勤め人が休暇を取ってのレジャーというのは難しい、というのが現状でしょうか。
10.まとめ
8月も前月に引き続き空席照会数が減少しました。予約取り扱い数については微減にとどまり、前年実績の低調さから、対前年比では多くの地域で100%を超える結果となりましたが、トレンドとしては変わらず、業務渡航、帰国需要が一定数続いている状況です。
ワクチン接種証明書の運用が開始されてから1ヶ月が経ちましたが、まだ目に見える結果は残念ながら出ていません。やはりカギは帰国時の隔離措置免除、という事になりそうです。
それ以外では日常を取り戻しつつあるハワイ、ワクチン接種証明書により隔離措置免除対象となったグアム、集団免疫を獲得した(と聞く)インドあたりの動向が今後の注目ポイントとなりそうです。
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過去の記事一覧
・INFINI DATA Streamで見る世界 第1回【検索・予約への影響はいつから始まったのか】
・INFINI DATA Streamで見る世界 第2回【今検索・予約されているのはいつの旅程?】
・INFINI DATA Streamで見る世界 第3回【旅行会社カテゴリでの分析】
・INFINI DATA Streamで見る世界 第4回【9~11月の空席照会・予約取り扱い動向】
・INFINI DATA Streamで見る世界 第5回【2020年の振り返りと海外渡航復活のヒント】
・INFINI DATA Streamで見る世界 第6回【2021年4月号】
・INFINI DATA Streamで見る世界 第7回【2021年5月号】
・アメリカ行きの需要が回復の兆し、2021年5月の海外旅行動向【INFINI DATA Streamで見る世界 第8回 2021年6月号】
・ホリデーシーズンへの期待感が高まる、2021年6月の海外旅行動向【INFINI DATA Streamで見る世界 第9回 2021年7月号】
・ワクチン接種証明書運用開始、対象国の動向は?2021年7月の海外旅行動向【INFINI DATA Streamで見る世界 第10回 2021年8月号】
11.INFINI DATA Streamのご紹介
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