株式会社クロノス・インターナショナル
業種 旅行業(ホールセール)
設立 1996年
アメリカン航空
業種 航空業
設立 1930年
株式会社インフィニトラベルインフォメーション
業種 GDSサービスの提供
設立 1990年
TOPICS
- 航空業界の本格参入を見据え、NDC導入は有意義
- NDC対応を検討する航空会社の受け皿を目指す
- 今回の取り組みは、NDCの新しい一歩である
- LCC APIユーザーであれば導入はスムーズ
航空券の流通に大きな変革をもたらすといわれる新規格・NDC(New Distribution Capability)。 しかし、NDCを早期に導入するメリットは、なかなか見えづらいものです。そこで今回は、NDCをいち早く導入するメリットについて「INFINI NDC Suite」を展開する株式会社インフィニトラベルインフォメーション(以下インフィニ社)、すでに「INFINI NDC Suite(XML API版)」を導入した株式会社クロノス・インターナショナル(以下クロノス社)と、アメリカン航空(以下アメリカン航空)の各担当者にくわしくお話を伺いました。
航空業界のNDC本格参入を見据え、先行投資として有意義です(インフィニ社)
――まず、NDCをめぐる業界の動きについて教えてください。
インフィニ社:NDCに関わる動きは、ここ数年でどんどん加速していると感じています。NDC導入の狙いは、おもにコストの削減やアンシラリーサービス(航空券以外の付加サービス)の販売強化、顧客への「パーソナライズな提案」の実現などです。実際に、海外の人気路線や大手航空会社を中心に、NDCを介した航空券や旅行の手配がすでにスタートしています。さらに、航空会社の業界団体であるIATA(国際航空運送協会)も、「2019年後半からNDCの導入がさらに拡大していくだろう」とNDCの見通しを伝えています。
――NDCをめぐる動きはかなり活発なようですね。では、旅行会社への導入も加速度的に増えているのでしょうか?
インフィニ社:それが、そうとも言い切れないのが現状です。日本では、航空会社が「NDCを通してどのようなコンテンツを提供していくのか」といった具体的なプランを旅行会社に明示しきれていない点と、NDC接続の方法に「これ」というのが見えなかったため、最初の一歩をなかなか踏み出せずにいる旅行会社は多いのではないでしょうか。
――NDCの導入に向け、環境の整備状況はどうですか?
インフィニ社:NDCが広がっていく環境は整いつつあります。各航空会社が本格的に参入してくる日は、2020年からではないでしょうか。その際に、いち早く対応できるようインフラを整えておくという意味でも、先行投資としてNDCを導入するメリットは大きいと感じています。
――先行投資として、早めの導入がおすすめというわけですね。それでは、インフィニ社が提供している「INFINI NDC Suite」について教えてください。
インフィニ社:はい。「INFINI NDC Suite」は、旅行会社のNDC接続をサポートするプロダクト群の総称です。現在は、“INFINI LINX PLUS”と旅行会社自身で開発可能な“XML API版”の2つのラインナップがあり、利用シーンに合わせて選択が可能です。
――「INFINI NDC Suite」には、どのようなメリットがあるのでしょうか?
インフィニ社:「INFINI NDC Suite」のいちばんのメリットは、やはり当社の専任スタッフが、APIの開発を全面にサポートしていることだと思います。将来的にNDC規格そのものの普及が進むのは間違いありませんが、実際に「それが旅行会社のビジネスにどう影響を与えるのか」はハッキリとは見えていません。ですから、最初の一歩を踏み出すことも大切ですが、失敗を防ぐためにも、旅行会社と航空会社の“仲介役”を長年務めてきたGDSである当社のソリューション「INFINI NDC Suite」が最適だと思います。
新たな取り組みを”NDCで検討”する航空会社の受け皿に(クロノス社)


――クロノス社が業界に先駆けて、「INFINI NDC Suite(XML API版)」によるフライト検索『ファーサイト』で、アメリカン航空とのNDC接続を開始した理由を教えていただけますか?
クロノス社:NDCのサービスに高い将来性を感じたからです。当社は、業界に起こる変化にいち早く対応するのはもちろん、変化を自ら起こすことを常に意識し、顧客サービスに繋げる取り組みを行っています。ですから、NDCのような新しい動きには注目していました。ただ、今回のNDC接続に関しては、当社をはじめとする旅行会社に「どのような利益をもたらすのか」が未知数だったのも事実なんです。しかし、航空会社のNDC構想と、専任スタッフがAPIの開発サポートをしてくれるインフィニ社の「INFINI NDC Suite」に、高い将来性を感じましたね。
――変化に柔軟に対応していくというクロノス社のポリシーにマッチしたんですね。それでは、NDC導入の狙いについてくわしくお聞かせいただけますか?
クロノス社:はい。いち早くNDC接続を行うことで、当社がアメリカン航空だけではなく、NDCを検討する多くの航空会社の受け皿になれると考えています。そのような”先行投資”という狙いもあり、当社は旅行業界に先駆けてGDSによるNDC接続を導入しました。
――これからのクロノス社の取り組みについて、教えていただけますか?
クロノス社:当社は、複数の航空会社を取り扱っており、その手配をより確実にすること、そしてお客様に喜んでいただける取り組みを目指しています。お客様の満足のために、様々なチャレンジを今後も続けていきたいですね!
――ありがとうございます。
今回の取り組みは、NDCの新たな一歩だと思います(アメリカン航空)
――アメリカン航空におけるNDCへの見解を教えていただけますか?
アメリカン航空:日本で頻繁に“NDC”という言葉を聞くようになったのは、2018年頃だと思います。その頃から少しずつではありますが、NDCの展開は進んでいると感じています。
――日本のマーケットにおける、NDCの動きをどのように見ていますか?
アメリカン航空:日本のマーケットでのNDCの進捗は決してスピーディではないと感じています。どちらかというとNDCへ「慎重に対応する」ことが、マーケット全体の特徴でもあるとも思っています。
――そんな中、クロノス社が「INFINI NDC Suite(XML API版)」によるフライト検索『ファーサイト』で、アメリカン航空とのNDC接続を開始しました。
アメリカン航空:はい。いつも新しい取り組みは、目的意識を共有したパートナーが世の中にその基盤を築いていくものだと理解しています。NDCの展開においても、日本はまさに今がその段階ではないでしょうか。私の認識では、Webサイトのブッキングエンジンを、GDSを介したNDCにしたのは日本の旅行会社でクロノス社が初めてです。このことは「NDCにおける新たな一歩」といっても過言ではないと思いますね。このような取り組みを通じて、クロノスさんとNDCプロバイダーのインフィニさんの3社が、カスタマーエクスペリエンスの向上という目的を共有できていることが、とても嬉しいです。これからの展開も楽しみにしています。
――ありがとうございました。
日本で初めて、XML API版のNDC「INFINI NDC Suite」を旅行会社に提供

――ここまで、インフィニ社・クロノス社・アメリカン航空航空の各担当者に、NDC導入のメリットや先行投資の考え方についてくわしくお伺いしました。
2019年9月時点で、NDCに対応している航空会社は、アメリカン航空(アメリカン航空)、ルフトハンザグループのルフトハンザ・ドイツ航空(LH)、スイス・インターナショナル・エアラインズ(LX)、オーストリア航空(OS)、ブリュッセル航空(SN)の5社。これら以外の航空会社でも、NDCのみに適用する特別割引運賃やキックバックプログラムを設定したり、販売コンテンツを充実させたりと、自社サービスの利用拡大を目指していくことが予想されています。旅行会社にとっても、取り扱える航空券の予約(運賃)クラスの種類が増えるだけではなく、多様なアンシラリーサービスを顧客に提案できる可能性も広がっていくことでしょう。長い間、旅行会社と航空会社の“仲介役”を務めてきたGDSであるインフィニ社のソリューション「INFINI NDC Suite」。NDCへの対応を検討している旅行業界にとって、今後も目が離せないプロダクトです。
LCC APIユーザーであれば、導入はスムーズです(インフィニ社)
――LCC APIユーザーへのNDC導入について教えていただけますか?
インフィニ社:NDC通信は、2014 年からLCC予約システムで連携しているトラベルフュージョン社のシステムを利用して提供しています。現在は、提供中の95 社のLCC 機能と、15 社のNDC 機能を共通の仕様でシステム構築することが可能なんですよ。
――共通の仕様でシステム構築ができるんですね!
インフィニ社:そうなんです。窓口となるURLへの接続が許可されれば、いつでもどこでもアクセスできるのは大きなメリットですよね。それに、LCCの手配で開発したシステムを、NDCの手配にも流用できるのでLCC APIユーザーであればスムーズに導入することが可能なんです。当社の情報ポータルサイト『INFINI FOREST』での利用申請から本格運用までのステップも通常より省けますし、開発コストを削減できる点も大きな魅力だと思います。