5大陸最後の秘境 南極大陸を目指して|旅行記

written by:株式会社読売旅行 海外旅行部 仕入企画 今野 薫子 様
(提供元:極地ガイド 林 由希恵)

そこは360度見渡す限り、青と白の世界。いのちの尊さ、太古から息づく自然の偉大さに気付く場所。一歩足を踏み入れて、大地を感じれば深い感動と歓びがあふれる場所。今回は、南極の魅力をご紹介します。

旅の始まりは、世界の果ての街「ウシュアイア」から

「南極」と聞くと、多くの方が日本の観測地、昭和基地を思い浮かべるのではないでしょうか。私もそのうちの1人です。越冬を終えて帰国した探検隊の経験を耳にすると、どんな過酷な場所が待ち受けているのかと勝手な先入観がありましたが、ツアーは南極の短い夏の時期、比較的天候が安定した時期に催行しています。

日本から飛行機を乗り継ぎ南米を目指し、アルゼンチン最南端の街であり、南極クルーズの玄関口の都市としても有名な「ウシュアイア」まで向かいます。この街から南極半島を目指す10日間の冒険クルーズの旅が始まります。

行き先は気象・海象次第。まさに探検隊の気分!?

世界で最も荒れる海域の一つドレーク海峡を抜けると、いよいよ観光がスタートします。南極半島の先端、いわゆる私たちの最終目的地「南極大陸」を目指しつつ、周辺の様々な島へ上陸したり、小型ボートで望遠鏡を片手にアザラシやペンギン、時にはクジラを探しに行くクルージングを楽しみます。その時の気象や海氷によって航路は変わり、約200か所の上陸ポイントから条件にあった安全で最適な観光スポットへ案内されるという、まさに探検隊になったような旅です。

海に浮かぶ棚氷や氷山は、海表に現れているのはほんの1割で、あとの9割は水面下にあるというので、そのスケールの大きさに圧倒されます。

また、彫刻のように浮かぶ氷山の造形美はまるで野外美術館のよう。数万年の時が純度の高い氷をつくり出し、鮮やかに青く発光する氷山。言葉では言い表せないほど神秘的な世界が広がっています。

かわいい南極の住人たちからの嬉しい歓迎

島全体がペンギンの営巣地となっている場所もあります。足を踏み入れるときは、そのペンギンの数の多さに圧倒され、思わず「お邪魔します」と言いたくなってしまいます。南極の短い夏の季節に訪れた1月下旬は、まさにペンギンの子育て真っ最中。モコモコの毛に覆われた赤ちゃんペンギンに心癒されます。母親ペンギンが子供たちへの訓練の一環として追いかけっこをしている姿も見られ、まだおぼつかない足取りのヒナたちが、懸命に母親ペンギンを追いかける姿に目が釘付けになります。

そして、ペンギンたちは私たち人間に興味津々!野生動物に近づきすぎないよう、5メートルの距離を保ち見守る人間のルールを余所に、ペンギンたちの方から興味本位で近寄ってくる嬉しい歓迎もあります。

そんな中、ペンギンの営巣の真上では、ナンキョクオオトウゾクカモメが常に目を光らせ、ペンギンのヒナを狙っています。食物連鎖・弱肉強食など教科書で習った「生物の世界」を目の当たりにし、1日1日を懸命に生きる野生動物たちの姿は、私たち人間に「生きる」ことの命の重さや尊さを改めて教えてくれます。

厳しい自然環境の中でも、強く逞しく、懸命に生きる南極の動物たちからは、満ち満ちた生命力が感じられ、そのエネルギッシュ溢れる姿は決して忘れることができません。

いよいよ待ちに待った南極大陸に上陸!

この冒険クルーズ一番のハイライトは、やはり「南極大陸への上陸」です。見た目は今まで上陸した島々と変わりありませんが、やはり旅の一番の目的ということもあり、上陸がかなった時は歓びもひとしおです。

また、周囲に響き渡る大きな轟音と氷河の崩落が起こり、新たな氷山の誕生を目の当たりに。海に滑り落ちた氷山は、これから何年もの海の旅に出るのです。

太古の空気が蘇る「南極の氷」とウィスキーで乾杯!

南極の氷にウィスキーを注ぐと、パチパチと気泡が弾ける音がします。この気泡は、南極大陸に積もった雪が氷になっていく過程で、封じ込まれた太古の空気です。今、数万年の時を経て蘇る空気の音がしています。グラスから漏れるかすかな音に耳を澄ませながら頂くカクテルは、不思議な感覚と共に特別な1杯となりました。

手つかずの地球最後の秘境、南極。南極は生きています。そこに同じ旅は一つもありません。皆さんもウィスキーを片手に、南極だけで流れる時空を感じ、太古の昔に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

バトンタッチ
次号の旅行記は
株式会社ジャンボツアーズ 海外航空仕入課 依岡 憲司 様
にご登場いただく予定です。