【人気沸騰中】絶景のペルー・レインボーマウンテン!標高5,000mの登山は過酷だった|旅行記

ペルー。この国の名前を聞いて次に連想する言葉は何でしょう?マチュピチュ遺跡、ナスカの地上絵、インカ文明、コンドルは飛んでゆく…などなど?そして、「死ぬまでに一度は訪れたい国」と、憧れを抱いている方も多いのかなと思います。
標高5,000mの絶景、レインボーマウンテン「ヴィニクンカ山」のトレッキングツアー
そんなペルーにも、近年、所謂「インスタ映え」で人気が出た観光地があります。ヴィニクンカ山、通称、レインボーマウンテン。その名の通り、虹色の山、標高約5,000mのところにたどり着かなくては見られない絶景です。地層に含まれるミネラル成分が太陽光線に当たり反射する為カラフルに目に映ります。理想的な角度で太陽が当たるのが朝なので、インカ文明の遺跡が多く残るクスコから早朝04:00~04:30頃に出発する日帰りツアーが一般的です。しかしながら、私は、昨年10月、レインボーマウンテンに一番近い場所に建つ、あるロッジが組んだ1泊2日のトレッキングプログラムに参加する機会を頂きました。
このトレッキングプログラム、カラフルな民族衣装を着た男性達と何頭ものリャマに馬…ちょっとした村のお祭りかと思うような一団が同行してくれます。1泊2日分の参加者の荷物と水と食料とは全てリャマの背中に、参加者の背中には飲料水と防寒着と軽食のみ、参加者自身は馬の背中に。という訳で、トレッキングツアーと言いながら、実は、自らの脚では殆ど歩いていません。ですが、かなり急斜面の山道を行くので、腹筋背筋大腿筋をフル活用しなくては馬の上でバランスをキープできない上に、馬ごとこの急斜面を転げ落ちていかないとも限らないという薄い恐怖心からの緊張感も続き、静かに体力を奪われる感じでした。


「素敵なロッジ!」と思っていたけど、実際は…?
さて、山のロッジというと、見ず知らずの人達とザックとに挟まれ、高低様々ないびきの合唱に眠れぬ夜を過ごす、というイメージがありますが、今回宿泊のロッジのお部屋は通常のホテルのようにバスルーム(シャワーとトイレ)付きのベッドのある個室です。電気供給はないので、お部屋の明かりは蝋燭、ベッドには暖をとるために湯たんぽを用意してくれます。自然環境に配慮して、バスルームではロッジが用意した石鹸のみを利用します。
出発前に得たこの情報だけだと、なんだか素敵~という印象でしたが、このロッジ、建っているのは標高約4800m地点。実際、部屋で蝋燭1つの明かりはあまりにも頼りなく、湯たんぽ1つというのは「ないよりはマシ」という程度の温もりに過ぎず、石鹸は全く泡立たず、シャワーは熱いお湯の出る部屋もあれば水しか出なくて心臓が止まりそうになる部屋も。そもそも歩きでしかアクセスできないそんな山の上、屋根のある所で眠れるだけでも充分ありがたいのは百も承知ですが、ベッドルームにシャワーもトイレもあって食堂には暖炉があって…となると、やはり快適さに対しての期待値はぐんと上がってしまいます。ですが、あるがままを受け入れる…修行僧のような心持ちです。


体力にも高所にも自信のある私が体験した苦悩
ところで、皆さんが経験されたことのある「高所」って、標高どのくらいでしょうか?日本ではどう頑張っても富士山の3776mが最高地点。ペルーのクスコは約3400m。標高が高く見えるマチュピチュ遺跡は約2400m。マチュピチュへアクセスする際の玄関口となる空港はクスコにありますので、列車でマチュピチュ駅に到着した時には、空気が濃い!とホッとする、という恰好です。ですが、クスコだ!マチュピチュだ!と意気込んでツアーに参加されるお客様の中には、ペルーの首都、リマの空港に到着した途端、息苦しい、頭が痛い、高山病だ!という騒ぎになる方もいらっしゃるそうで…因みに、リマ空港の標高、Wikipedia情報によると34mです。つまり、高山病とは、心理的な要因も大いにある、ということで、あまり不安を抱かないことも重要なポイントです。
ところが、しつこいですが、5,000m級。ここまでくると、心理操作作戦では誤魔化しがきかないくらい圧倒的な身体的負担がかかるのです。体力はもちろん、高所に対しても自信がありましたが、ロッジ到着後に襲ってきた激しい頭痛と吐き気、そして氷点下の寒さ、この三重苦を抱きながらの睡眠タイムは、大袈裟ではなく「死」を意識する恐怖の時間でした。
肝心のヴィニクンカ山ですが、これ以上ないくらいの晴天に恵まれ、目の前に虹色に層をなす山肌、背後にはインディオ達にとっての霊峰アウサンガテ山(6384m)、どちらもパーフェクトなコンディションで、アドレナリン一気に大放出!


もちろんここがハイライトではあるものの、とにかくワイルドな道中とロッジでの高山病体験が強烈過ぎて、私の脳内の記憶も、この文章の配分と同様の割合で、レインボーマウンテン自体が霞み気味なのでした(笑)。それでも、もしも次回があれば、あーしてこーしてもっとそーして…といかに高山病を避けるかのイメトレをしつつ、この経験で、生きることに対して少しだけ強さを得られた気がして、次の旅の妄想を始めています。

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